Part4では、顔面・歯科にまつわる略語をメインに扱います。
MM
Malignant Melanomaの略で、悪性黒色腫(メラノーマ)を意味します。
メラノーマは皮膚がんの一種です。
メラノーマは放射線への感受性が低いため、放射線治療はあまり意味がない、という話が大学の講義でも言われていたような気がします。
が、色々調べていたら興味深い話が書かれていたので引用し、ご紹介します。
これまで、悪性黒色腫は放射線への感受性が低いと考えられてきましたが、悪性黒色腫が脳や全身へ遠隔転移した場合には、緩和医療として放射線治療を行うことで、転移や再発に伴う症状(痛みなど)を和らげる効果が報告されています。
SCC
Squamous Cell Carcinomaの略で、有棘細胞癌(扁平上皮癌)を意味します。
SCCも皮膚がんの一種です。
メラノーマと違い、放射線が高く治療実績も良いようです。
早期例や腫瘍径の小さいSCCに対する放射線療法の成績は良好で、手術と概ね同等の成績が報告されており90%の症例で局所制御が得られる。しかし、頭頸部領域原発で耳下腺に浸潤した症例や、リンパ節転移や神経周囲浸潤を来した症例に対する放射線療法の生存率は17~46%と不良である。
ところで、有棘細胞癌と扁平上皮癌は何が違うのか、というのも調べてみました。
「有棘細胞癌」と「扁平上皮癌」はほぼ同義語であるが、皮膚科学領域では組織学的なcounterpartの名称との対応(基底細胞と基底細胞癌、有棘細胞と有棘細胞癌)から、有棘細胞癌の語が好まれる。
ただし、日本以外では扁平上皮癌と区別せずに呼称することが多い。たとえば英語圏ではprickle cell carcinomaではなくsquamous cell carcinomaと呼称する。
TMD
TemporoMandibular joint Disorderの略で、顎関節症を意味します。
咀嚼筋痛や顎関節痛を伴うと言われています。
顎関節症を分類・診断するうえで、画像検査は必須となります。
顎変形症との違いは?
ちなみに、顎変形症は上顎や下顎に変形が起きる疾患です。
特に、下顎が小さくなってしまうと(小下顎症)、気道が潰される可能性もあります。
こちらも外科的手術を行うことがあり、術前の画像検査は必須となります。
特に噛み合わせはVRで見ると分かりやすいです。
8┛など
略語ではないと思うのですが、紹介します。
8┛は右上8番の歯、つまり右上の親知らずを意味します。
歯を正面から見て4分割した状態をイメージしていただければ分かりやすいです。
BRONJ
Bisphosphonate-Related OsteoNecrosis of the Jawsの略で、ビスホスホネート系薬剤関連顎骨壊死を意味します。
ビスホスホネート(BP)は、悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症、骨転移あるいは骨粗鬆症の治療薬として多くの患者に用いられ、臨床的に有効性の高い薬剤であることは広く知られている。通常、注射用BPは悪性腫瘍患者に、経口用BPは骨粗鬆症患者に用いられることが多い。しかし、近年、BP系薬剤投与患者において歯科治療を契機とした顎骨壊死の発症が大きな問題となっている。
BRONJも、骨壊死の状態を見るために画像検査を行います。
CTの画像を見てもらえれば分かるかと思いますが、骨がボロボロですね。
Imaging modalities for drug-related osteonecrosis of the jaw
そして大抵こういう方は、銀歯があり、金属アーチファクトを結構引きます。
金属アーチファクト低減ができる装置があれば、そちらで撮った方が良いかなと考えています。