先日一般撮影の条件を考えるポイントについて書きました。
胸部レントゲンは撮影頻度が高く、他の部位の撮影とも異なる部分が多いため、改めて解説します。
スポンサーリンク
撮影目的について
撮影目的を簡単におさらいします。
胸部レントゲンは、
- 肺野、縦郭腫瘍の診断
- 肺炎、気管支炎などの炎症の診断
- 心疾患の診断
などを目的としています。
正面、または正面+側面を撮影することが多いです。
高管電圧撮影
胸郭内の臓器は、肋骨や胸椎、鎖骨などに囲まれています。
低管電圧で撮影してしまうと、これらの骨陰影に重複して見えにくくなります。
高管電圧で撮影することで、骨組織と軟部組織の濃度差(コントラスト)が低下し、見やすくなります。
骨陰影をなるべく目立たなくし、そこに重なる血管影や病巣影を見やすくします。
管電圧は120kV程度を使用します。
グリッドを使用
管電圧を高くすると、散乱線量が増加します。
一定年齢以上の胸部レントゲン撮影にて、グリッドの使用は必須です。
撮影距離(SID)は長距離
線束の観点から、各部位の拡大差を小さくします。
また、距離を長くし、半影も小さくできます。
SIDは200cm程度とします。
撮影時間は短時間
呼吸抑制は概ね出来ても、心拍動を止めることは不可能です。
(心拍動を止めてしまったら大変ですよね)
なので、心拍動の影響をなるべく受けないよう、撮影時間を極力短くします。
撮影時間は50msec以下が望ましく、10~20msec程度に設定します。