胸部レントゲン撮影(胸部正面X線撮影)が、最も知られている放射線技師の仕事であると考えております。
そして、誰しもが受けたことのある検査でしょう。
健康診断なんかでも検査をするので、普段病院に行かないという方も受ける検査です。
今回は、胸部レントゲン撮影を受ける際に、どんな格好をしていくと楽か、書きます。
レントゲンでは金属類が写る
先ず前提として、レントゲン撮影では金属類が写ります。
簡単に説明すると、金属類は放射線を吸収しやすい物質なので、レントゲン上で白く写ってしまいます。
そうすると、見たい部分に上記の白い部分が重なってしまい見えづらくなってしまいます。いわゆる障害陰影というものです。
レントゲンを撮影する際、障害陰影となるものがあると診断に悪影響を及ぼす可能性があるため、この金属類が診たい部分に写らないように放射線技師は注意しています。
胸部レントゲンで撮影している範囲
レントゲン撮影の場合、撮影範囲以外のものは無視できます。
例えば胸部のレントゲンを撮影する際、腰は撮影範囲に入りません。なので、ズボンにボタンやチャックがついていようと、どうでもよいのです。
胸部レントゲンの撮影範囲を示します。
いわば1枚の写真ですので、上下と左右を見ればよいです。
上下は肩上~脇腹(へそのちょい上くらい)、左右は両方の脇腹が入るくらいです。
この範囲に金属類等がなければOKです。
では、男女に分けてポイントを書いていきます
男性は肌着1枚ならOK
肌着というのはボタン等がついていないものを指します。
プラスチック製のボタンであってもわずかに写ることがあるので、脱いでもらうか、避けれるなら避けて撮影をします。
無地の肌着1枚だと特に着替えをせずに検査ができます。
女性は着替えてもらうことが多い
女性の場合、ブラジャーなどの下着が注意点となります。
かといって、外して病院に行くわけにもいかないですし、どの程度ワイヤーが入っていたり、どういった素材のアジャスターかを正確に判断するのは難しいです。
こういったリスクのもとから、女性には着替えをお願いする場合が多々あります。
男性と同じように(上裸の状態に)肌着1枚のみであれば検査可能です。着替えをする場合は上裸の状態に検査着を着ることになります。上裸の状態+肌着1枚+検査着で撮影をすることもあります。
何も下着についていないと言って、いざレントゲンを撮ったら写るということもありますので、更衣案内をする技師の指示に従っていただくのが良いと考えます。
現在はブラトップなどもありますが、施設によっては着替えてもらっているところもあります。
そのまま着替えず検査を受ける、というよりは、着替えやすい格好で行き、検査着に着替えるというのが楽だと考えています。
小児(子供)はプリントに注意
小児の方は大人よりも撮影条件(放射線を当てる条件)を下げて撮影します。
こういった関係から、洋服に施されているプリントなどは強く写ってきてしまいます。
(大人でも写ってくる場合は十分あります。)
小児の方の着替えも大変な場合があり、プリント類などの無い服だとスムーズです。
気をつけておきたいポイント
ネックレスや大きいサイズのイヤリング
ネックレスは肺の上部にガッツリ写ってきてしまいます。
イヤリングも大きさによっては写ってくる可能性があります。
検査を受ける際は、こういったものをつけていかないことをオススメします。
ホッカイロ、湿布、エレキバンなど
ホッカイロやエレキバン(磁石とシールが一体になっているもの)はレントゲンに写ってしまいます。
湿布も種類によっては写ってきてしまいます。
一般的には白い湿布は写り、肌色の薄い湿布は写らないです。
前述の範囲にホッカイロや湿布などがある場合は、担当技師に申し出てください。
CGMやFGMは要申し出
一般的に持続型血糖測定器と呼んでいるものは、X線照射禁です。
装着している部位は腹部や上腕が多いですが、必ず申し出てください。
我々放射線技師も確認を怠らないように気をつけています。