主に、入院している患者さんには様々な医療機器がついています。
重症度が高ければ高いほど、医療機器はたくさんついています。
しかしこういったものはあまり学生時代に習いません(僕が授業を聞いていなかっただけ?笑)。
つまり社会人になってから、「なんだこれ?」ってなるわけです。
僕は新人の頃、何がついているのか分からなくて、怒られました。
自分で調べようと思っても、名称が分からないからググることすらできない…
そう僕は思いました。
そんな悲しみを味わってほしくないので、一通りの知っておくべき医療機器を紹介します。
略語も出てくるので、適宜抑えてください。
挿管チューブ
これ抜いたら終わりだと思っておいてください。
それくらい重要です。
気道を確保するためのものです。
ちなみに挿管チューブには必ず蛇管がついています。
蛇管はレントゲンで映るので、ポータブルの際には看護師さんに避けてもらう必要があります。
挿管チューブの先端はだいたい鎖骨の近位端を延長し結んだ点辺りです。
深すぎると片肺を過換気することになるので、画像を見て気づいたらすぐに医師へ報告しましょう。
病棟ポータブル撮影の手順を簡単に解説|胸部レントゲンVer.
オキシログ
挿管するだけでは呼吸ができないので(あくまで気道を確保する)、蛇管の先には人工呼吸器がついています。
実際に検査を受けに来る場合、オキシログというものに交換して来ることがあります。
そしてこれはインレットホースという緑の太い管と繋がっていて、そこから酸素を供給しています。
気切チューブ
気切とは気道切開のことで、喉の辺りを切開します。
気切チューブは切開箇所へチューブを入れることで、気道確保をするものです。
酸素チューブ
呼吸状態が悪い人は酸素を供給する必要があります。
鼻の穴にちょこんと刺して使う鼻腔カニューレ(カヌラ)と、
酸素マスクがあります。
胸腔ドレーン
気胸患者の内圧管理や血胸のドレナージに使われます。
注意しなければならないことは、絶対に横向きに倒してはいけないということ。
理由は中の液体が横のスペースに移動してしまうと、適切な胸腔圧を管理することができなくなるからです。
モニター
状態が不安定な患者さんは、バイタルを常にチェックする必要があり、モニターが使われています。
ベッドで病棟から検査室へ移動するとき、大掛かりなものを持っていこうと大変なので、小型のものを使用することもあります。
ここにつながっているものを紹介します。
心電図
基本は3点誘導で、赤・黄・緑のコードが使われています。
このコードたちはレントゲンなどで写るので注意。
電極シールは写らないものが多いです。
あまり重症ではない患者さんは、小型のモニター心電図をつけていることがあります。
病棟にいる間は無線でナースステーションに飛ぶようになっているのですが、検査室まで来ると飛ばないので、外していいです。
(ダメな場合もあるかもしれないので確認してください。)
外したら必ず装着し直すこと。
Aライン
動脈内圧を図っています。
動脈に針が刺さっているので、抜くと非常に大変です。
(止血に凄い時間がかかる)
サチュレーションモニター
酸素飽和度を図っています。
指先につけますが、挟む式とテープ式があります。テープ式はたまに千切れることがあるので注意。
点滴
これは言わなくていいかなとも迷ったんですが…
点滴には色んな種類があり、自分も全然覚えていないのですが、ダントツで技師が触れるものを紹介します。
そう、生理食塩水です。
造影CTを行う前に補液しますよね。
出会う頻度が多い分、抜去する確率がかなり高いので要注意。
ポンプ系
薬剤を一定の速さで体内へ送るものです。
シリンジポンプ
基本的に点滴棒についています。
横の大きいネジをぐるぐる回すとネジが緩み、点滴棒から外すことができます。自由度は比較的高いです。
輸液ポンプ
シリンジポンプは名前の通りシリンジを押し、輸液ポンプは輸液の速度を調整するポンプです。
輸液ポンプも点滴棒についているのですが、動かすときは輸液も動かさなければなりません。
そして、輸液と輸液ポンプの間が短いので、フリーになっている点滴棒に付け替える必要性などが生じます。
CVC
CVC(Central Venous Catheter)は中心静脈カテーテルといい、頸部などから上大静脈に向かって入っています。
鼠経から下大静脈へ向かって入っていることもあります。
PICC
PICC(Peripherally Inserted Central Catheter)は末梢挿入中心静脈カテーテルといい、上腕などから上大静脈へ入っていきます。
バルーン
見た目でなんとなく入っているものが分かると思います。
結構がっつり固定されており、引っ張られる頻度も少ないです。
が、車椅子の患者さんで、後ろにかけられていることに気づかず移乗してしまうと、どこか接続部分が外れてしまう恐れもあります。
ドレナージバッグ
排液を引っ張ってくるのがドレナージですが、その排液を貯めておくのがドレナージバッグです。
バルーンと同じく、車椅子の患者さんで、後ろにかけられていることがあるので注意。
EDチューブ
胃管、マーゲンチューブなど様々な言い方がありますが、はっきり言って通じれば何でもいいです(笑)
経管栄養といって経口で食事ができない患者さんに使われることがあります。
胃管はよく自己抜去されるものです。患者さんも相当嫌なんでしょうね…
僕も経鼻内視鏡を受けたときは本当にきつかったです。
胃管を入れたあとは位置確認のために上腹部のポータブルを撮りに行くことがあります。
J-VAC
ポータブル低圧持続吸引システム J-VAC®サクションリザーバー/blake®シリコンドレインは、創部の排液を吸引するドレーンと貯留を行う低圧持続型リザーバーです。
読み方は「ジェーバック」です。略語ではなく商品名ですね。
上述の説明通り、創部の排液を吸引するので基本血だらけです。真っ赤になっていても怖気づかないように。
創外固定
創外固定とは、骨折部から離れたところ(例えば大腿骨骨幹部骨折なら近位側と遠位側)へピンなどを挿入し、体外で連結し固定する方法です。
これらの器具を創外固定器と呼びます。
創外固定器はホフマン創外固定器やイリザロフ創外固定器が有名です。病院や医師によって使い分けはまちまちでしょう。なので、僕はイリザロフ固定をあまり見たことがありません。
多発外傷の患者さんなどは、バイタルの関係で直ぐに骨折の手術を行えないことがあり、一時的に骨折部位を仮固定するために創外固定をすることがあります。
(DCO:Damge Control Orthopaedics)
ホフマン創外固定
イリザロフ創外固定
これらの創外固定器がついている場合は、骨が折れているということです。
つまり、動かすときは十分注意する必要があります。
牽引
牽引は患肢(四肢のうち骨折のあるもの)を牽引し、骨折部の整復と安静を保つために行います。
これも多発外傷の患者さんには見受けられることがあります。
創外固定と同様、牽引している箇所は骨折があるということなので注意が必要です。
牽引には直達牽引と介達牽引があります。
直達牽引
介達牽引
直達牽引はワイヤーを骨に貫通させています。
おわりに
ここまで読んでいただきありがとうございました。
紹介したものを一通り覚えておけば、怒られることもなく、仕事もスムーズにしやすいのではと思います。
皆様の仕事に役立つことを祈っております。