ポータブル撮影を行うため病棟へ行き、ナースステーションに声をかけるという話は以前しました。
僕らがナースステーションに声をかけても、看護師さんに反応してもらえないことがあります。
反応してもらえないというのも厄介ですが、反応してもらえても厄介なパターンがあります。
それは、「その人動けるんで」です!
「その人動けるんで」に込められた意味とは
○○さんのポータブルお願いします。
ー完ー
というのが、ちょくちょく見られる1シーンです(笑)
まだポータブルを撮りに行ったことがない人からしてみれば、そんなこと本当にあるのかと思われるかもしれませんが、これが実態なのです。
このセリフに込められた意味は、
その人動けるので私は介助につきません、
あなた(技師)1人で全部やってくださいね!
です。
ここでの問題点
何か起きた時に困る
我々放射線技師は一人一人の患者状態を全て把握しているわけではありません。その人の病態などは詳しくないわけです。当然、受け持っている看護師さんの方が詳しいです。
患者さんが急変したり、VFになってしまったらどうするのでしょうか。
介助につかず、何か起きた時に放射線技師の責任にされたらたまったもんじゃありませんね…
動けるのなら一般撮影室へ降りてくるはず
当たり前の話ですが、ポータブルで撮るより一般撮影室に来てもらった方がいい画像が撮れるわけです。それでもポータブルで撮るには理由があります。
病棟から搬送が困難、移動できない、見た目の重症度は低いが安静にしていなければいけないなどです。
つまり、仮に動けたとしても自分で動いてもらうのは危険なわけですね。
それが嫌なら僕らに八つ当たりするのではなく、依頼医に直接言ってもらえればいいと思います。
正論をかましても無駄
差別ではなく事実ですが、このセリフを言ってきたことがあるのは全員女性です。
こういう方々に正論をかましたところで無駄なので、大人な対応をしましょう。
議論などにより時間を割いても、向こうが異常に不機嫌になるだけなので無駄です。
実際に言われたときの対処方法
1人でポータブルを撮るのは非常に大変です。患者さんの協力なしではできません。
我々が具体的な指示を出せないといけませんのでポイントを提示します。
FPDを入れるときのポイント(胸部)
臥位で撮る場合は、一度起き上がってもらいます。
上体が起きている(坐位)の状態で、ベッドにFPDを置き、そこに寝てもらいます。
もしこれが無理なら、患者さんに反対側を向いてもらい(側臥位)、FPDを入れれるところまで入れます。仰臥位になってもらい、あとは力業で押し込みましょう。
FPDを入れるときのポイント(腹部)
大転子の位置を確認したら、膝を立ててもらいます。腰を上げてもらうと同時に、背中を持ち上げ、FPDを入れましょう。
どうしても腰を上げると、背中が沈んでしまうからです。重心がその位置に動くので、持ち上がらないこともあります。その際は、一度FPDを入れてから(左右を合わす)、身体を上げてもらいFPDを上へ動かしましょう(上下を合わす)。
無理な場合は胸部と同じように横向きになってもらい、FPDを半分入れると楽です。
周辺機器に十分注意する
もしルートを抜去した場合、残念ながら技師の責任になります。十分注意する必要があります。
また、モニター心電図など、レントゲンに映り込んでしまうものもありますので、看護師がいなくても気をつけましょう。
感情をコントロールする
こういうことを言われるとイラっとしてしまうことがあるかもしれません。
正式に介助につくというルールになっているはずなのに、何なんだ、…と。
看護師側も人手不足なのは否めないので、そこは理解しておくと感情のコントロールをしやすくなると思います。
イライラしながら仕事をすると確実に失敗するので、深呼吸をして落ち着きましょう。