一般撮影・ポータブル撮影

一般撮影の撮影条件について|決め方とポイント

皆さんは、一般撮影の条件に悩んだことはありますか?

僕は新人の頃、いまいち感覚が掴めず、苦労していました。
今でも、「この場合どの条件で行こうかな」なんて考えるときがあります。

今回は僕なりに持っている、一般撮影の条件設定を考えるときのポイントについて書きます。

一般撮影の撮影条件とは

一般撮影の撮影条件を決定する因子には

  • 管電圧 kV
  • 管電流 mA
  • 撮影時間 sec
  • SID
  • グリッドの有無

が挙げられます。

それぞれの因子についてポイントを紹介します。

管電圧について

X線の透過性を保持するのが大事ですが、管電圧をむやみに上昇させれば、画像コントラストの低下につながります。

成人の人体構造は概ね一定なので、適切なコントラストを保つための管電圧は定まってきます。

管電圧が決まったら、あとはmAs値を調整していきます。

ちなみに、体格がでかい方になれば、透過性を高めるために管電圧を上げます。

シーネをつけている場合なども透過性が下がるので、管電圧を上げます。

管電流と撮影時間(mAs値)について

mAs値は管電流と撮影時間の積で表されるので、この2つのバランスが結構大事です。

管電流を上げるとmAs値は上昇します。
管電圧と同じように、部位に応じてある程度必要な線量が定まってくるので、そこに合わせることになります。
X線を吸収する物体が重なっている部位ほど、線量は必要になってきます。

一方、撮影時間を上げてもmAs値は上昇します。
撮影時間が長ければ長いほど、心拍動の動きなどが影響するため、短い方が良いです。

ただし、装置によって管電流を500mAまで上げられる装置もあれば、400mAまでしか上げられない装置もあります。
線量を上げたいとき、管電流をそれ以上上げられない場合は、撮影時間を伸ばすことになります。

撮影距離(SID)について

半影の問題

撮影距離は半影にも影響するので、ある程度の距離をとる必要があります。
半影は、撮影距離が長いときの方が短いときに比べ、小さくなります。
半影が大きいと画像のボケとして現れるので、小さい方が良いです。

照射野サイズの問題

極端な話をすると、X線管を近づけすぎた場合、照射野を全開にしても照射野が足りません。

ただし、撮影距離が遠すぎると、到達線量が下がってしまいます。
なので基本的には撮影距離(SID)を100~120cmとする場合が多いです。
胸部レントゲンは高管電圧撮影であり、前述の理由等を含め、200cmとしています。

グリッドの有無について

グリッドは散乱線を除去してくれる優れものです。
しかし、四肢などの厚みが薄い部分は、比較的散乱線が発生しないので、不要です。

また、小児のように体圧が薄いと、被ばく線量の増加にも繋がるので注意が必要です。

僕はグリッドの有無について、管電圧70kVを目安にしています。

ポータブル撮影はむやみに条件を変えない

ポータブル撮影(病室撮影)は、日々の経時的変化を追っています。

人によって条件を変えてしまうと、画像の見え方が変わってしまうおそれがあります。

なので、ポータブル撮影の際はむやみに条件を変えないようにしましょう。

病棟ポータブル撮影を安全・迅速・円滑に行うコツ病棟へポータブル撮影をしに行って、苦労したことはありますか? 僕はあります(笑) 慣れればポータブル撮影は大したことはありま...

おわりに

撮影条件は被ばく線量に直結します。
被ばく線量については、DRLsと参照してみてください。

医療被ばく研究情報ネットワーク(J-RIME)

また、以下に紹介する本にも、標準的な撮影条件が載っています。
気になる方はぜひ読んでみてください。

ポジショニングについても、フルカラーCGで描かれていてとても分かりやすかったです。

ABOUT ME
rad-yamato
大規模病院とクリニックを経験した診療放射線技師8年目。趣味は昼寝・筋トレ・ダンス・料理・読書・ゲーム・ゴルフ・キャンプなど。ブログには新人放射線技師・看護師や研修医の方へ向けた内容や、仕事に役立ちそうな話を書いています。 公式LINEアカウントもありますので、気軽にご相談ください。