一般撮影を経験せずに、いきなり病棟ポータブルから始まる人が一定数います。
そういった方々に、少しでもポータブル撮影の手順が伝わったらいいなと思います。
腹部は特に苦労するのではと思います。理由は、大転子の位置がよく分からないことが多いからです。
今回は腹部編について簡単に解説します。
胸部編はこちらから↓
病棟ポータブル撮影の手順を簡単に解説|胸部レントゲンVer.
腹部(臥位)の手順とポイント
1.点滴などがあればなるべくまとめる。
FPDを入れるスペース内にルートが入らないように。
2.患者さんの腕をお腹に乗せてもらう。
腕が横にあるとFPDを入れにくいので、上げましょう。
3.大転子の位置を確認する。
僕の中ではやや難関スポットなのではと思っています。
親指以外の4本指(面の状態)で上前腸骨棘を探し、親指と入れ替え、残りの4本を伸ばすと大転子辺りに来ます。説明が難しいですね(笑)
というわけで図を作りました!
参考にしてみてください。
4.FPDを少し身体の下に入れる。
大転子の位置が分かったら、FPDを少し入れましょう。
大転子の3~4cm辺り下にFPDの下端が来るようにすると、大体の患者さんは入ります。
5.患者さんを持ち上げて、すかさずFPDを入れる。
腕が落ちてこないようにするために、患者さんの右手側からFPDを入れる際は、右手で患者さんを持ち上げるようにしましょう。(患者さんの手首側を持つ)
FPDの上下は概ね決めてあるので、あとは横の位置だけです。横の位置を意識し、FPDを入れます。反対側はどこまで入ればいいか、考えておく必要がありますね。
6.ポータブルのX線管位置と照射野を合わせる。
X線管の位置合わせ方法は、身長によって異なります。
FPD(またはCR)を縦にして撮影します。なので、半切サイズの実グリッド(リス)を使っていても、胸部と違い、リス目の心配をする必要がありません。
7.撮影条件を合わせ撮影
意識がありコミュニケーションが取れる場合は、きちんと呼吸の合図を入れましょう。無理な場合は胸腹部の動きを見て、膨らんだときに照射します。
上腹部の撮影をするときは?
主に胃管の位置確認で上腹部のみを撮影することがあります。
その際は、FPDの位置を、通常の腹部撮影より頭側にする必要があります。
FPD上端は腋窩、下端は上前腸骨棘を目安にしましょう。
画像としては、横隔膜が頭側1/3~1/4辺りに来ているといいです。