何をやるにしても、その意義を考える必要があります。仕事だから放射線治療をやる、とかではなく、何故放射線を使って治療をするのか考えていきます。
なぜ放射線を使って治療するのか
放射線と聞いて、「危ない」とか「怖い」など、様々な感情を抱く方がいるかもしれません。原爆のことや、東日本大震災による原発事故などが原因だと思います。
放射線治療を行うのは放射線が一定の癌(悪性腫瘍)に効くからです。その原理は、腫瘍とその周囲に存在する正常組織との間にある放射線感受性というものを利用するというもの。
放射線は正常組織・悪性腫瘍ともにダメージを与えます。正常組織はダメージを受けても回復能力を持っているので元に戻ることができます。しかし、悪性腫瘍は回復能力がないため、死滅します。
ただし、上記の通り正常組織もダメージを受けるので、様々な計算をして治療を行っていきます。
また、高齢な患者さんなどで、外科的手術を行うことができない患者さんがいます。そういった方を救うためにも(緩和的治療としても)、放射線は外から当てるだけなので有用です。
メリットだけではない
上述の通り、正常組織も放射線が当たると、ダメージを受けます。放射線の量が多いと副作用が出てきます。(確率的影響・確定的影響は割愛します)
副作用は軽度なものから重篤なものまでありますが、声が枯れてしまったり、皮膚が赤くただれてしまうこともあります。
しばらくすると治るものもありますが、そういう副作用と付き合う必要が出てきます。もちろんその間、放射線科医・看護師・放射線技師は親身になって付き添ってくれるはずです。
そして我々放射線技師は、どの部位に放射線が当たると、どういった副作用が出るかというのを知っておくべきです。
終わりに
日本では放射線に対しあまり良いイメージがないかもしれませんが、少しずつ知る必要があると思います。多くの方に知っていただく必要があると思います。
間違った情報に怯えるのではなく、正しい知識を持ってどう向き合えばいいのか、というのを考えることが大切ではないでしょうか。
そして放射線治療を実施する際、どういう意義のもと治療を行っているのかを考えることで、よりよい治療ができると考えています。