さて、CT検査の台本という記事はこれで3つ目になります。
今回は造影CTの場合ということで、体幹部の平衡相のみの撮影というパターンを紹介したいと思います。
単純CTと造影CTで前提が異なることに注意
健康な患者さんの単純CT検査の場合、患者さんにルート類がついていることは基本的にないです。
一方、造影CTは造影ルートを確保するため、必然的にルートがついている患者となります。
これを前提としておかなければなりません。
「両手をバンザイの状態にしてください」とか、言うタイミングを間違えたらルートが引っ張られるので非常に危険です。
ただ、造影ルートの確保をするタイミングは施設によって異なり、寝台に寝る前に造影ルートを確保する施設や、寝てから確保する施設があります。
では台本へ移りましょう。
基本的には、造影検査時に単純撮影の台本に追加しておくべきセリフとなります。
入室時
マスク、眼鏡は外す
「マスクや眼鏡は外してください。」
造影CTで使用する造影剤は副作用が発生する可能性がある薬です。
患者急変時にすばやく助けるためにも、マスクや眼鏡は先に外しておいた方がいいです。マスクは、呼吸困難や嘔吐の際に邪魔になります。眼鏡は、副作用発生時に患者が暴れるなどした際に危ないです。
ポジショニング
寝台に寝かせ、単純CTと同じように検査を進めていきます。
追加すべきセリフは以下の通りです。
「これから造影剤という、お薬を使う検査をします。」
普通の人は造影剤という言葉に慣れていないです。
(検査説明時に聞いてはいると思いますが…)
「お薬が入ると体が熱く感じますが、それ自体は問題ないです。」
または、「お薬が体に入ると熱く感じますが、お薬の特徴なので安心してください。」
:造影剤を注入すると熱感を持つ場合が多いです。時々それを感じない患者さんもいます。
「もしご気分に変化がありましたら教えてください。」
造影剤注入時
造影剤注入を技師が行っている場合…
「針先を触ります。」
「今からお薬を使う検査を始めます。ご気分の変化がありましたら教えてください。」
注入を開始したら、造影剤がきちんと注入されていることを確認し、
「お薬がきちんと入っているので、検査を続けます。」
「針先に痛みはありませんか?」
:造影剤が注入されると、スリルを感知することができます。
(スリルは、ホースの中を水が流れるような感覚。)
スリルが全く感じられなかったり、かなり痛がっていたら造影は一旦中止します。
急性の副作用がないか確認をする。
「ご気分お変わりないですか?」
または、「息苦しさや気持ち悪さはないですか?」
大丈夫なら検査続行
「あと〇分ほどで撮影をします。また呼吸の合図が入るので、合図に合わせてください。もうしばらく、そのままの姿勢でお待ちください。」
おわりに
単純CTと違い、造影CTになると注意しなければならないポイントが増えます。
患者さんも基本的にはリスクがあることを承知の上で検査を行っています。検査前に医師から説明を行い、同意書を取るのが一般的かと思います。
なので、我々放射線技師もきちんと説明をし、副作用等に十分配慮しながら検査を行っていく必要があります。