MRにはコントラストを強調する様々な画像があります。
今回はFLAIRとDWI(拡散強調画像)について書きます。
FLAIRについて
FLAIR(Fluid Attenuated Inversion Recovery)とは、脳脊髄液を抑制したT2WIを指します。
なので、脳脊髄液近傍の病変を検出するのに優れています。
MELAS(ミトコンドリア脳筋症)の症例画像(FLAIR)を引用します。
また、腫瘍と浮腫を分離するのにも効果があります。
加えて、多発性硬化症の検出にも役立ちます。
FLAIRの原理について
IR(Inversion Recovery)は反転回復を意味します。
通常のT2WIは脳脊髄液の信号が高いですが、180°反転パルスを印加すると、縦磁化がマイナスになります。
マイナスになった縦磁化はプラスに戻ろうとしますが、脳実質の方が脳脊髄液より戻るのが早いです。
脳脊髄液の縦磁化がマイナスから0に戻るタイミング(null point)にてスキャンをすることで抑制できます。
null pointまでの時間をTI(Inversion Time)と呼ぶことがあります。
DWIについて
DWI(Deffusion Weighted Imaging:拡散強調画像)とは、水分子のブラウン運動を可視化するものです。
分子拡散の程度を信号化し、協調しているため拡散強調という名前です。
超急性期脳梗塞に有用であり、梗塞部位が高信号で描出されます。
脳の虚血領域を見るのに優れています。
救命救急では脳梗塞疑い患者の画像検査として、第1選択がCTになるかと思います。CTにはearly CT signという有名所見がありますが、これらよりも梗塞部位が分かりやすく明瞭です。
DWIの原理について
超急性期脳梗塞の場合、細胞性浮腫により細胞間隙が押しつぶされてしまいます。
これにより正常部位に比べブラウン運動が小さくなります。組織のブラウン運動の差を、信号の差として表します。
DWIで高信号領域がある場合、ADCマップも追加することがありますが(ルーチンで撮っていることもある)、
ADCマップとの関係については別の記事にて解説します。