MRI

FLAIRとDWIについて|ヤマトと一緒にMRIを勉強 Part3

MRにはコントラストを強調する様々な画像があります。

今回はFLAIRとDWI(拡散強調画像)について書きます。

FLAIRについて

FLAIR(Fluid Attenuated Inversion Recovery)とは、脳脊髄液を抑制したT2WIを指します。

なので、脳脊髄液近傍の病変を検出するのに優れています。

MELAS(ミトコンドリア脳筋症)の症例画像(FLAIR)を引用します。

日本核医学会 第10回核医学専門医試験問題

第20回診断専門医試験問題

また、腫瘍と浮腫を分離するのにも効果があります。

加えて、多発性硬化症の検出にも役立ちます。

神経の炎症「多発性硬化症」、治療 着実に進歩

FLAIRの原理について

IR(Inversion Recovery)は反転回復を意味します。

通常のT2WIは脳脊髄液の信号が高いですが、180°反転パルスを印加すると、縦磁化がマイナスになります。

マイナスになった縦磁化はプラスに戻ろうとしますが、脳実質の方が脳脊髄液より戻るのが早いです。

脳脊髄液の縦磁化がマイナスから0に戻るタイミング(null point)にてスキャンをすることで抑制できます。

null pointまでの時間をTI(Inversion Time)と呼ぶことがあります。

DWIについて

DWI(Deffusion Weighted Imaging:拡散強調画像)とは、水分子のブラウン運動を可視化するものです。

分子拡散の程度を信号化し、協調しているため拡散強調という名前です。

超急性期脳梗塞に有用であり、梗塞部位が高信号で描出されます。

脳の虚血領域を見るのに優れています。

救命救急では脳梗塞疑い患者の画像検査として、第1選択がCTになるかと思います。CTにはearly CT signという有名所見がありますが、これらよりも梗塞部位が分かりやすく明瞭です。

症例 85歳女性.数時間前に突然の左片麻痺,構音障害が出現し搬入された

第1回 超急性期脳梗塞を見逃すな!~知っておきたいearly CT sign~

DWIの原理について

超急性期脳梗塞の場合、細胞性浮腫により細胞間隙が押しつぶされてしまいます。
これにより正常部位に比べブラウン運動が小さくなります。組織のブラウン運動の差を、信号の差として表します。

DWIで高信号領域がある場合、ADCマップも追加することがありますが(ルーチンで撮っていることもある)、

ADCマップとの関係については別の記事にて解説します。

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大規模病院とクリニックを経験した診療放射線技師8年目。趣味は昼寝・筋トレ・ダンス・料理・読書・ゲーム・ゴルフ・キャンプなど。ブログには新人放射線技師・看護師や研修医の方へ向けた内容や、仕事に役立ちそうな話を書いています。 公式LINEアカウントもありますので、気軽にご相談ください。