病院の規模が大きく、来院患者数も多いと、その分放射線技師の人数も増やす必要性が出てきます。
概ね、病院の規模に対し放射線技師の数も比例すると考えてよいでしょう。
(忙しいのに全然放射線技師を雇ってくれない、という病院も世の中にはあります)
首都圏の多くの病院は、放射線技師を複数人雇用していると考えています。
一方で、放射線技師を一人しか採用していない職場も存在します。
2020年、僕は放射線技師が1人しかいない職場へ転職しました。
今回は、1人職場のメリットとデメリットについて解説します。
メリット|1人職場は自由!?
自分の裁量で全てを決めれる
ある意味、技師長は自分です。
つまり、画像の提出ルールや撮り方も全て自分で決めることができます。
もちろんその病院の医師とやり取りをして決めるわけですが、細かい撮影の部分などは技師が決めることになります。
概ね自分の考えで決めることができます。
一般撮影の領域は歴史が長い分、撮影法や提出画像を変えるには相当根気がいります。
学会や研究会で得た知見や、本で学んだことを実際の撮影に活かそうとすると、その病院のルール等に縛られて難しい…というのは、しばしばあるかと思います。
自分が仕事をしやすい環境を作りやすいです。
他の技師が気にならない
転職する前は、他の技師の行動などが気になるときがありました。
具体的には格好や接遇、撮影した画像、整理整頓ができないなど…
具体的に内容を挙げましたが、もちろん僕自身完璧だとは1mmも思っていません。ただ、周りに比べて僕は神経質なので、やはり気になってしまうんですよね。
こういうのが気になる方は1人職場の方が精神的に良いかもしれません。
先輩技師に怒られない
転職前はよく怒られたりもしたものですが、今は技師が1人なので、怒られません。
個人的にはこういうのもプレッシャーやストレスの一因であったと考えているので、1人職場は自分に合っていると実感しています。
後輩技師を怒ることもない
一言に”怒る”といっても、怒り方は様々です。
その人を思って指導する場合は、非常に労力が要ります。
はっきり言って、怒鳴り散らすとか、ただ責めるだけとか、そういった怒り方は頭を使わないんです。
(こういった怒り方しかできない人は教育側に回ってはいけないと考えてます)
その人が成長するためにどういった怒り方をしなければいけないのか、テンションや言い回し(言葉遣い)、怒るタイミングなど、色々考えなければいけません。
個人的には、考えてから指導しても「本当にあれでよかったのかな」と後悔するレベルです。
そして、何かを言ったからといって必ずしもその人に響くわけではありません。正に”暖簾に腕押し”という人もいます。
後輩指導は、一緒に成長できる喜びもありますが、負担になることも多いです。
1人職場は後輩技師もいないので、指導によるストレスからも解放されると言っていいでしょう。
デメリット|全ての責任は我にあり
仕事は自分で作る
組織が大きいと、上司、リーダー、部下、といった感じでスタッフの層が分かれます。
病院長の方針によって、その年に何を目標とし、何を中心に行っていくかが決められるでしょう。そうなると、放射線科・放射線部としても色々な目標を立て、各モダリティで何をしなければいけないというのが出てきます。
若手のうちは、先輩が作った仕事をすることになるかと思います。
1人職場になると、仕事は自分で作らなければいけません。
(仕事量を自分で決めることができるという点ではメリットです)
仕事を作らなくても、おそらくお給料は貰えますが、同じことをこなす毎日になり、そのうち飽きてしまうのではと思います。
困ったときに誰も助けてくれない
1人職場でなければ、何かあった際、他の技師に相談することができます。
若手のうちは、先輩技師を頼る場面もあるでしょう。
しかし、1人職場の場合は(当たり前ですが)それができません。
何かトラブルが発生したら自分で解決しなければいけない。放射線業務で困ったときは自分で調べて解決しなければいけない。そういった環境です。
ある意味孤独
僕は1人で過ごす時間が好きなのであまりデメリットには感じていませんが、1人で過ごすのが苦手である方や、他人と群れることを好む方には厳しい環境かと思います。
マンパワー不足
今までは技師2人で対応すればよかった撮影も、基本的には1人で対応することになります。
こういった場合にも、工夫が必要になります。
とにかく自分で考える力が必要
医師に「こういうところが見たい」と言われたら、自分で考える必要があります。
何をするにしても自分で考える必要があるので、そういった力がないと1人職場で働くのは難しいと考えています。
おわりに
1人職場もそうでない職場も、それぞれメリット・デメリットがあります。
1人職場へ就職したい方は、自分の性格や、身についている知識・技術等を考慮して就職することをオススメします。