Part6では、胸部、特に呼吸器系にまつわる略語をメインに扱います。
日本人の死因において、呼吸器系の疾患は上位に入ります。
詳しくは、厚生労働省の出している統計資料をご覧ください。
死因別死亡確率の推移
LK
LungenKrebsの略で、肺癌を意味します。
(LungenKrebsはドイツ語です。)
肺癌にも、分類がありましたね。
肺癌は大きく分けて4種類に分類できます。
小細胞肺がん(Small Cell Lung Cancer ; SCLC)
非小細胞肺がん(Non-Small Cell Lung Cancer ; NSCLC)
非扁平上皮非小細胞肺がん(Non-Squamous Non-Small Cell Lung Cancer ; Non-Sq NSCLC)
扁平上皮非小細胞肺がん(Squamous Non-Small Cell Lung Cancer ; Sq NSCLC)さらに発生部位別に肺の入り口付近の太い気管支にできる「中心型(肺門型)」と肺の奥のほうにできる「末梢型(肺野型)」に分けられます。
肺癌の種類によって、治療方針が異なります。
この辺の特徴は余裕が出てきたら覚えておくとよいでしょう。
肺がんは、組織型によって、非小細胞肺がんと小細胞肺がんの2つに大きく分けられます(表1)。発生頻度が高いのは非小細胞肺がんで、腺がん、扁平へんぺい上皮がん、大細胞がんに分類されます。中でももっとも多いのが腺がんで、一般には「肺腺がん」ともいいます。小細胞肺がんは、非小細胞肺がんと比べて増殖速度が速く、転移や再発をしやすい腫瘍です。
非小細胞肺がんと小細胞肺がんでは、治療方針が大きく異なるため、検査によって組織型を確認してから治療を開始します。
GGN
Ground-Glass Opacity Nodule
ちなみにGGO(Ground-Glass Opacity)という表現が恐らく昔は一般的だったのではと
考えますが、現在はGGNと呼ぶ、という話を以前どこかの研究会で聞いたことがあります。
HRCTは必須です。
HRCTの作成ポイントについては、こちらの記事を参照ください。
COPD
Chronic Obstructive Pulmonary Diseaseの略で、慢性閉塞性肺疾患を意味します。
病気の概要については、日本呼吸器学会が詳しい説明をしてくださっているので、そちらを参照ください。
こちらでも冒頭だけ紹介させていただきます。
慢性閉塞性肺疾患(COPD:chronic obstructive pulmonary disease)とは、従来、慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれてきた病気の総称です。タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入曝露することで生じた肺の炎症性疾患であり、喫煙習慣を背景に中高年に発症する生活習慣病といえます。
COPDにHRCTは必要なのかという話ですが、新規結節病変等があればHRCTをつけた方がよいと考えます。
また、CTでは気腫性病変(LAA:Low-Attenuation Areas)を見ており、早期気腫性病変はレントゲンで分かりづらいことから、これを見るためにHRCTをつけるのも有用です。
このサイト(スライド)も参考になりましたので、ご興味ある方はご覧ください。
COPDのCT画像所見の基礎
IP
- Interstitial Pneumoniaの略で、間質性肺炎を意味します。
胸部 X 線や胸部 CT 画像上,両側肺野にびまん性陰影を認める疾患は「びまん性肺疾患」と総称される.一方,間質性肺炎(interstitial pneumonia:IP)は主に肺胞隔
壁を炎症の場とする疾患の総称であるが,その病理像は多彩であり,原因には薬剤,無機・有機粉じん吸入などによる場合や,膠原病やサルコイドーシスなどの全身性疾患に付随して発症する場合,さらに原因が特定できない特発性間質性肺炎( idiopathic interstitial pneumonias:IIPs)などがある.
画像もご紹介します。
単純X線撮影(レントゲン)および胸部CT(高分解能CT:HRCT)では、すりガラス様陰影(ground-glass opacity:GGO)と呼ばれる陰影が特徴的に見られます。さらに進行すると線維化を反映して、ハチの巣のように見える蜂巣状を呈するようになっていきます。これを蜂巣肺(ほうそうはい)と呼びます。
MG
Myasthenia Gravisの略で、重症筋無力症を意味します。
重症筋無力症(じゅうしょうきんむりょくしょう)は筋肉の力が弱くなる病気で、特に同じ筋肉を何回も動かしていると力がでなくなってくるのが特徴です。厚生省の特定疾患(難病)に指定されており、平成21年では全国で16431人の登録があります。
(中略)
男女別では女性に1.5-2倍多いとされています。
胸部(呼吸器系)の略語にて紹介したのには、理由があります。
本症患者の約50~70%には胸腺腫ないし胸腺過形成がみられます。
胸腺摘出により症状が改善することから、胸腺の関与が示唆されています。
呼吸器系に含まれるのか、というのはイマイチにも思えますが、前職場では呼吸器系で診ていました。
余談ですが、胸腺腫は英語でthymomaと呼びます。
縦郭腫瘍についても抑えていく必要がありますね。
CTを撮ることがありますが、この場合もHRCTをつけておくと良いです。範囲はもちろん、縦郭に絞っていればOKです。