学生の皆さま、「放射線取扱主任者試験を受けなさい」なんて言われませんでしたか?
僕も言われたことがあります。
そして放射線取扱主任者試験を大学3年生のときに受験しましたが、見事不合格(笑)
翌年再度受験し、無事に合格しました。
この試験の合格率は約3割程度です。そんな難しい放射線取扱主任者試験を受ける意味って、一体何なんでしょうか?個人的な意見を述べます。
放射線取扱主任者とは
放射線取扱主任者(ほうしゃせんとりあつかいしゅにんしゃ)は、日本の放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律(以下、放射線障害防止法)に基づく国家資格の一つである。
放射線って、使い方によっては色々なことができますよね。でも使い方を間違えれば人を殺めてしまう可能性も十分にあります。
放射線を安全に取り扱うためには、それ相応の知識を持った人間が必要です。放射線取扱主任者とはそのような位置づけです。
合格率2~3割の難関試験
この試験が一体どのくらい難しいのかというと、かなり難しいです。
原子力安全技術センターの統計を引用します。
平成28年から3年間、約2割の合格率です。
中々厳しい道のりですね。
試験に受かった先に待ち受けるもの
さあ、無事に第一種放射線取扱主任者試験に合格しました!合格証が届いたらあなたは主任者として働けます!
…というわけではありません。
その1:高額な資格講習
試験に合格すると、放射線取扱主任者講習を受ける資格が手に入ります。
この講習を受けることで、免状というものが手に入り、やっと役に立つ資格となります。
ちなみにお値段16万円程度、5日間の講習です。
1.第1種放射線取扱主任者講習
この講習は、法第35条第2項に基づき、第1種放射線取扱主任者試験に合格し、同免状を取得しようとする方を対象としています。
この講習を修了された方には、講習修了証を交付します。(中略)
3.受講料
167,546円(税込) 注:食費、交通・宿泊費や免状申請等の経費は含まれておりません。
僕の学生時代の友達で、自腹を切って学生時代に講習を受けに行った人がいました。それはそれで尊敬するのですが、無理して学生時代に行く必要はないと思います。
病院によっては選任されると決まってから講習を受けに行かせてくれる場所もあるからです。また、貴重な学生時代にどこまでその資金を用意できるのか、という問題もあります。
その2:主任者に選任される必要がある
社会人になると分かるのですが、結構みんな主任者試験に合格はしています。
しかし、合格している人間の中で放射線取扱主任者として選任されないと、資格として機能はしません。
ちなみに、医療現場での診療目的であれば、医師または歯科医師を放射線取扱主任者として選任することが可能ですので、せっかくの資格が無駄になってしまうことも…。
その3:選任されても手当ての額は…
放射線取扱主任者に選任されると、当然業務量が増えます。
その分手当ても出るようです。
(出ない病院もあるかもしれません)
手当ての額はどうやらそこまで高くない様子…
ここまでの壁を乗り越えてきて、どこまで得をできるかというと、僕には分かりません。
他の資格においても言えることですが、損得勘定だけでは判断できなさそうです。
学生時代に受験する意味は?
診療放射線技師国家試験対策になる得る
試験の難易度がめちゃくちゃ高いですが、科目は診療放射線技師国家試験の内容と被っている範囲があります。
なので、主任者試験で鍛えておくと、放射線物理-化学-生物・計測学・法令あたりは概ねマスターできます。
社会人になってから受けようと思ってもほぼ無理
社会人になったら、仕事のことでいっぱいいっぱいになると予想されます。そして、国家試験へ向けて勉強してきたことも徐々に忘れてしまうでしょう。
何より、現場へ出て使う知識は、主任者試験の範囲と全然被っていないのです。
特に1年目は業務のことも疾患のことも勉強しなければいけないことがたくさんあります。そして、社会人生活に慣れる必要があったり、周りのスタッフとの関係構築をする必要もあります。つまり非常に余裕がありません。
そんな中、放射線取扱主任者試験へ向けて1日何時間も勉強するというのはかなり大変なことです。そういう意味でも学生時代に受験しておくのは一つの手です。
就職活動に有利になるって本当?
結論:病院による
大学4年次に履歴書を書く際、所持している資格に「診療放射線技師」は書けません。あくまで取得見込みという形で書きます。
これだけだと確かに寂しいので、「主任者試験合格」と書ければ、少し華やかになるかと思います。
じゃあこれで就職活動が有利に進むかというと、必ずしもそうではありません。
主任者試験に合格し、かつ講習を受けていれば、講習費用を病院が出さなくて済むので、やや有利といったところでしょうか。
上述の通り、社会人になってから合格するのはほぼ無理ですが、無理矢理勉強時間を作れば(将来一通りのモダリティを経験して落ち着いてからなど)合格はできます。
診療放射線技師免許は絶対に必要ですが、主任者試験合格は絶対に必要ではありません。それなら人柄等を見た方がいいですよね。
有利になる場面とは
例えば就職試験最後の最後で、2人残ったとします。
採用できるのは2人のうち、どちらか1人です。どちらも非常に魅力的な新卒者です。
となったときに、片方が主任者試験合格、もう片方は合格していない、となると、合格している方が採用される可能性があるようです。
(こういったパターンはかなり稀な気がします)