MRIは、信号のコントラストで表されています。
基本的な画像は、○○強調画像という呼び方をし、何かを強調したものとなります。
強調画像はWI(Weighted Image)とすることが多いです。
TRとTEについて
TRとTEは画像コントラストを決定する重要なパラメータとなります。
TRとはRepetition Timeの略で、繰り返し時間のことを表します。
TRはRFパルスを照射する間隔であり、単位はms(msec)です。
TEとはEcho Timeの略で、エコー時間を表します。
Echoは反響・共鳴という意味を持っていますが、TEはRFパルスを当ててから、MR信号を観測するまでの時間です。
響いてきた磁気共鳴をキャッチするイメージです。単位はms(msec)です。
T1WIとT2WI、ついでにPDWIも
T1WI
T1WIの特徴は、TRとTEが短い点です。
TRが短いと、組織間の縦磁化の差がつきます。この差は、RFパルス照射後(励起後)の横磁化に反映されます。
TEが短いほど、横磁化が減衰しておらず、T2の差が出てくる前に画像を取得できます。
T1WIは組織のT1の差を強調し、かつT2の差を抑えた画像となります。
T1WI
T2WI
T2WIの特徴は、TRとTEが長い点です。
TRを長くすると、組織間の縦磁化の差が小さくなります。これにより、励起直後の横磁化の差も小さくなります。
横磁化の減衰は組織によって異なります。TEを長くすることで、T1の差が出てくるのを防ぎ、T2の差を強調できます。
T2WIは組織のT2の差を強調し、かつT1の差を抑えた画像となります。
T2WI
PDWI
Proton Density Weighted Imageの略で、プロトン密度強調画像といいます。
PDWIの特徴は、TRが長く、TEが短い点です。
T2WIで述べたように、TRを長くすると、縦磁化の差は小さくなります。
また、T1WIで述べたように、TEを短くすると、横磁化が減衰しておらず、最終的に検出される横磁化は、T1WI、T2WIよりも大きい画像が取得できます。
T1WIやT2WIのような組織を強調する画像ではないですが、横磁化が大きいためSN比の高い画像が取得できます。
PDWIは組織のT1、T2の差を抑えて、プロトン密度を強調した画像となります。
PDWI
頭部MR画像のコントラスト
T1WI
信号強度は
白質>灰白質>脳脊髄液
となります。
白質の方が高信号のため白っぽく、脳脊髄液は黒っぽく見えます。
T2WI
信号強度は
白質<灰白質<脳脊髄液
となります。
脳脊髄液などの液体の方が高信号のため白く見えます。
臨床的意義
前述の通り、T1WIとT2WIでは強調しているものが大きく異なります。
例えばくも膜嚢胞はT1WIで低信号、T2WIで高信号を示します。強調されているもの、コントラストを見比べることで、診断をつけやすくすることができます。
また、単純T1WIと造影T1WIを見比べることで、髄膜炎などでは造影効果を見ることができます。
造影T1WI
PDWIは脊髄液が低信号を呈するため、T2WIで高信号を呈する脳室周囲の病変やくも膜下出血など、脳脊髄液腔周辺の病変を検出するのに有効です。
(調べてみた感覚、個人的な感覚としては、膝の半月板や靭帯を見たいときに撮像するイメージです。)