放射線技師は、救命救急センターに配属されることもあります。
救命救急センターに運ばれてくる患者さんは、普段外来に来るような、それなりに歩ける人ではありません。基本的には、命に関わる疾患の方が来ます。
患者さんの中には、バックボードで固定されて来る方もいます。そういう患者さんが来た時に、放射線技師はどうするのか書いていきます。
バックボードとは何か
そもそもバックボードとは何かという話です。
まあよく見るオレンジのボードです。これに患者さんを固定します。
簡単に説明すると…
交通事故・転落事故等による負傷者の全身を固定し、状態の悪化を防ぐ固定器具。
交通事故や転落事故による外傷というのは、脊椎・脊髄損傷を引き起こす可能性があります。
他にも頸部や背部に疼痛があったり、頭部や顔面に高度な損傷があれば、脊椎・脊髄損傷を疑います。よって、これらの患者はバックボードで固定します。
さらに、意識障害やアルコール・薬物過剰摂取などにより正確な所見が得られない傷病者についてもバックボードを用います。
基本的に、あるか分からないものについてはあるものと判断していくわけです。
固定ベルトの外し方
バックボードを外す手順「アンパッケージ」とは
バックボードで固定する際、頭から体幹まで何カ所か固定ベルトで固定します。実は、これらのベルトを外すのには順序があります。
バックボードの固定ベルトを外すときは、頭から順番に外します。
これを、アンパッケージと呼びます。なので、救命のリーダー医師が「じゃあ(頭から)アンパッケージ」と言ったら、適当に外さずに頭側から外しましょう。
必ずしも放射線技師が手伝う必要はありませんので、不安な場合は触らないようにしましょう。
アンパッケージという手順が決まっている理由
例えば、適当に体幹部の固定ベルトから外したとしましょう。もし、外したときに患者さんが暴れだしたり、痙攣を起こしたらどうなるでしょうか。
動きの支点は、まだ頭部が固定されているので、頸部になります。頸椎・頸髄損傷(疑い)の患者さんが、頸部に負荷をかけるというのは非常に危険です。
なので、頭から順に外すという決まりができています。
アンパッケージをしたら…
アンパッケージをしたら直ぐにやるべきことは、ベルトの金具をバックボードから外すことです。
レントゲンやCTで写ってきてしまうので必ず外しましょう。外しづらいので、早く外すには慣れが必要です。コツはフックを真下に押すことです。
本の紹介
以下に紹介したレジデントノートには、画像診断の基本から救急で遭遇した特殊な症例まで載っています。放射線技師が読んでも非常に勉強になる本です。
胸痛・背部痛・ショック・発熱・意識障害など内因性疾患や、外傷疾患について網羅しています。どのワードも救命救急ではよく聞くワードですので、読む価値は大いにあると思います。