以前の記事では紹介できていなかった、バックボードに固定されてきた患者のX線撮影について書きます。
バックボードに固定されてきた患者の対応|バックボードの説明とその扱い方
撮影前にスペーサーを入れる
基本的に、バックボードに固定されてきた患者のポータブル撮影は、患者をバックボードに乗せたまま行います。しかし、そのままバックボード下にFPD(またはCR)を入れようとしても難しいです。
そこで、スペーサーという直方体の物体を使います。バックボードの下にスペーサーを入れ、バックボードと初療台との間にスペースを作り、その隙間にFPDを入れます。スペーサーを入れる位置は、後頭部下と大腿中央下付近です。ポータブル撮影では、胸部と骨盤部(腹部を含めつつ)を撮影するためです。
スペーサーを入れることによって、患者の安全や撮影時間の短縮が見込めます。
照射野は絞らない
初療室では少しでも多くの情報を必要とします。胸部のポータブル撮影であっても、見ているのは胸部だけではないということです。なので、FPDサイズは全角(17×17)、無ければ半切(14×17)を選択します。
照射野をあえて絞ってしまうと、画像情報が減るため、初療室での撮影においては絞らない方が良いです。
外傷患者の骨盤は触らない
骨盤がややローテーションしているとしても、基本的に外傷患者の骨盤は触ってはいけません。当然、外傷患者は骨盤骨折の疑いがあるものとして扱います。
骨盤骨折は、出血性のショックを引き起こす原因となります。もしローテーションを直そうと言って触れば、骨盤の不安定性を憎悪される危険性があります。
腹部や骨盤の撮影では大転子を触知してFPDの位置を決めますが、あえて触る必要はありません。外傷患者は服を切ることが多く、目視で大まかに恥骨結合の位置を判断できるからです。