Part5では、頸部にまつわる略語をメインに扱います。
NPC、MPC、HPC
- NPCはnasopharyngeal carcinomaの略で、上咽頭癌を意味します。
NPCは頭蓋底に浸潤することがあるので、造影CT撮像時などは頭蓋底を含める必要があります。
- MPCはmiddlepharyngeal carcinomaの略で、中咽頭癌を意味します。
- HPCはHypopharyngeal. Carcinomaの略で、下咽頭癌を意味します。
ZK
Zungenkrebsの略で、舌癌を意味します。
口腔底癌や下顎歯肉癌は下顎骨への浸潤を伴う可能性があるため、造影CT撮像時など、下顎頭が含まれているか注意しておく必要があります。
OPLL
Ossification of Posterior Longitudinal Ligamentの略で、後縦靭帯骨化症を意味します。
首の背骨の後ろ、神経の前方部にあり、背骨を安定させる靭帯である後縦靱帯(こうじゅうじんたい)が何らかの原因で骨に変化(骨化:こっか)して、この骨化したものが脊髄を圧迫する病気です。脊椎以外にも靭帯組織が骨化するびまん性特発性骨格骨化症(骨増殖症)の一部分症状であるとの考えもあります。
骨化巣が脊髄をどれだけ圧迫しているか、また、どれだけ症状が出ているのかは重要になります。
CAS
Carotid Artery Stentingの略で、頸動脈ステント留置術を意味します。
カテーテル治療なので、外科的手術よりも侵襲性が低いです。
血管造影:治療前 頚動脈が著しく狭くなっている。
血管造影:ステント治療後 内頚動脈の細くなっていた部分が拡張している。
CCF
Carotid Cavernous Fistulaの略で、内頸動脈海綿静脈洞瘻を意味します。
頸動脈海綿静脈洞瘻とは、内頸動脈および外頸動脈と海綿静脈洞の間に短絡血流路が
形成された状態である。
画像検査では患側の海綿静脈洞の拡大や上眼静脈の拡張が認められる.外傷性では,海綿静脈洞近傍部に頭蓋底骨折を伴うことが多い.また,眼球突出や外眼筋の腫脹を認めることもある.CTで上眼静脈の拡張を指摘することが診断の足がかりとなる.