一般撮影を経験せずに、いきなり病棟ポータブルから始まる人が一定数います。
そういった方々に、少しでもポータブル撮影の手順が伝わったらいいなと思います。
何事もそうですが、基礎となる手順をしっかり作ってしまえば、あとが楽です。ポータブル撮影に関しては、もはや思考停止でひたすら作業みたいな面もありますので、頑張りましょう。
今回は胸部編について簡単に解説します。
腹部編はこちらから↓
病棟ポータブル撮影の手順を簡単に解説|腹部レントゲンVer.
胸部(臥位)の手順とポイント
1.点滴などがあればなるべくまとめる。
FPDを入れるスペース内にルートが入らないように。
2.患者さんの腕をお腹に乗せてもらう。
腕が横にあるとFPDを入れにくいので、上げましょう。
3.FPDを少し身体の下に入れる。
ここの手順を抜かすと、衣服などに引っ張られたりします。
位置をある程度決めるという意味でも重要です。
肩の上(頭側)にFPDの上端が来るようにすると、大体の患者さんは入ります。
4.患者さんを持ち上げて、すかさずFPDを入れる。
腕が落ちてこないようにするために、患者さんの右手側からFPDを入れる際は、右手で患者さんを持ち上げるようにしましょう。(患者さんの手首側を持つ)
FPDの上下は概ね決めてあるので、あとは横の位置だけです。横の位置を意識し、FPDを入れます。反対側はどこまで入ればいいか、考えておく必要がありますね。
5.ポータブルのX線管位置と照射野を合わせる。
大抵の患者さんでは、FPDは足側がやや沈む傾向にあります。
きちんと傾きが何度か調べ、合わせるといいです。
X線管の位置合わせ方法は、身長によって異なります。
半切サイズの実グリッド(リス)を使っている場合、横にして使うと、X線が斜入した際にリス目が出てしまいます。
6.撮影条件を合わせ撮影
意識がありコミュニケーションが取れる場合は、きちんと呼吸の合図を入れましょう。無理な場合は胸腹部の動きを見て、膨らんだときに照射します。
胸部(坐位)の手順とポイント
1.ベッドを起こしてもらう
座った状態での撮影になるので、看護師さんにベッドを起こしてもらいましょう。
余談ですが、ベッドを起こす際に先に足側を上げる(膝が曲がる感じ)ようにしないと、褥瘡の原因になりますので、気をつけてください。
ベッドを起こしてもらったら深く腰をかけてもらうことがポイントです。
2.ある程度X線管の位置を合わせておく
ベッドを起こしてもらう時間にちゃちゃっとX線管の位置を合わせておくとスムーズです。
X線管を大体、ベッドの足側の柵辺りに持ってきておくとスムーズです。
(これで距離が120cm程度に概ねなります。)
3.FPDを背中の後ろに入れる。
周りのものが巻き込まれないようにしましょう。
臥位と同様、肩の上(頭側)にFPDの上端がくるようにすると、大体の患者さんは入ります。
4.患者さんに顎を上げてもらう。
臥位と違って、顎が下がってしまう(引き気味になってしまう)ことがあります。
軽く上を見るようにしてもらうなど、工夫をし、顎が照射野に入らないようにしましょう。
5.ポータブルのX線管位置と照射野を合わせる。
ベッドの傾きが何度か調べ、合わせるといいです。
Maxまでベッドを上げても角度は90度まで到達することはないです。(最高でも80度くらい)
6.撮影条件を合わせ撮影
坐位で撮影できる患者の多くは意識があり、コミュニケーションが取れます。
きちんと呼吸の合図を入れましょう。