装置接触は意外と多いインシデントです。
かつて、僕も正直、「装置接触なんてやるんかなあ…確認してるし大丈夫だろう。」くらいの甘い気持ちがありました。
しかし、仕事に慣れてきた頃に、この装置接触を起こしました。
今回は装置接触を防止するために僕が考えていること・実践していることを書きます。
技師だけでなく、検査に携わる医師や看護師の方にも読んでいただけたら幸いです。
装置接触の具体的な例
一般撮影にてX線管と患者が接触
臥位ブッキー台にて撮影終了後、患者が起き上がる際に、頭をぶつけた。
CT検査にて寝台とストレッチャーが接触(挟み込み)
患者をCT寝台からストレッチャーへ移乗した後、直ぐに寝台を下げたため、寝台によりストレッチャーの点滴棒を固定する部分が挟み込まれた。
透視検査にて寝台とワゴンが接触
透視検査中、寝台を動かしていた時、近くにあったワゴンと接触した。
考えられる原因
確認不足のため
例えば、CTの寝台を動かす際、寝台の周囲を確認してから動かせば、上記のような接触は防げます。
「何も当たらないだろう」という憶測や思い込みは非常に危険です。
コミュニケーション不足のため
患者さんが、自分の意図していない動きをしてしまったり、予想外の動きをしてしまうことは、しばしばあります。
これを装置接触の原因としてしまうと、次に進めません。
その行動の背景を考えてみるのも、原因分析には必要だと考えています。
例えば、患者さんが寝た状態からいきなり、勢い良く起き上がってしまったとしましょう。
一方自分は、ゆっくり起き上がってほしかったとしたら、先ず考えなければいけないのは、コミュニケーション不足だったのかどうかだと思います。
環境設定の問題
物理的に、モノとモノ、モノと人が接触しやすい環境ならば、装置接触は起こりやすいです。
人間の能力にも限界があるので、環境も原因の一つと捉えるべきです。
実践している対策例
自分の目で確認する
装置を動かすのは自分、だとしたらやはり、自分の目でしっかり確認することが大事です。
指差し呼称で周辺に意識を向けるのも良い習慣だと思います。
他人の目で確認してもらう
自分の目で確認するのが一番ですが、当然それができない場面も出てきます。
そういった際は、確認したい場所の周辺にいるスタッフに確認してもらいましょう。
確認する際は、
といった感じでやり取りすることをオススメします。
具体的にどこを見てほしいのかをきちんと伝えること、
相手がきちんと確認して返事をくれること、
この2点がポイントだと考えています。
分かりやすい言葉でコミュニケーションをとる
患者さんに自分が意図している動きをしてもらうには、やはり分かりやすい言葉でコミュニケーションをする必要があります。
動かないでほしいときは、「動いてしまうと機械に当たってしまうので、動かないでいてください。」など、
理由+指示
で伝えるのがオススメです。
起き上がる際も、ゆっくり起き上がってください、など声をかけるのも良いでしょう。
環境整備を行う
物理的にモノを動かしたりするにはお金がかかる部分もあるので、可能な限り行うのが良いと思います。
手軽にできる整備、例えば透視装置の動く範囲を、虎テープを床に貼って示すと、その範囲の中にモノがあったら注意しようという意識付けになります。
”虎テープの中にモノがある際は、装置を動かさない”というルールを作ることもできます。
おわりに
僕の書いた対策には、皆さんが当たり前だと思っていることが多いと思います。
ですが、当たり前と思っていることをいつでも当たり前のようにこなすのは、とても難しいことです。
装置接触は重大な事故にもなりかねないので、この記事が読んでいただいた方の教訓になれば幸いです。
決して、自分は大丈夫と思わないでください。