フラットリフトという言葉はご存知でしょうか?
患者移乗の種類の一つである、フラットリフトについて書きます。救命救急では外傷患者も多く来ますが、そういう場面で重要になります。
外傷患者を対応する方には、ぜひ知っておいてほしい内容です。
外傷患者でよくやるフラットリフトとは
フラットリフトとは、フラット(=平らに)+リフト(=持ち上げる)という言葉通り、患者を仰臥位のまま(平らな状態で)持ち上げることです。
フラットリフトは以下の二つの条件を満たしているとき選択します。
・骨盤骨折や穿通性異物(包丁や鉄板など)が残存している
・持ち上げる人数が十分確保されている
持ち上げる人数は、最低6人必要です。頭側と足側に1人ずつ、両側に2人ずつ配置します。号令をする人は、ログロールと同じく頭部保持者です。
フラットリフトのコツ
手の位置が肝心
コツなのか分からないですが…
注目すべきは手の位置です。どうしても手を浅く入れて、手首の力で上げようとする人がいます。しかしこれでは全然力が入らず不安定です。
手はなるべく背中の中心辺りまで持っていき、持ち上げるといいです。
人間の重心はどこか
何を持ち上げるにしても重心というのを意識するわけです。(無意識に重心がどこか考えているかもしれない。)
例えば「2Lの水が入ったペットボトルを片手で持ち上げてください」と言われたとします。ペットボトルの長辺の端っこに手を入れて持つことはできないですよね。長辺の中心を持つか、底面を持つかだと思います。
人間を持ち上げるときも一緒です。では人間の重心ってどこなのかという話です。これを考えるうえで結びつける事柄といったら、褥瘡です。
仰臥位において褥瘡ができやすい箇所は、以下の4点。
・後頭部
・肩甲骨部
・仙骨部
・かかと
「褥瘡ができやすい=仰臥位にて体重がかかる場所」と考えると、上記の4点に主に力を入れると持ち上げ易いということになります。ポータブル撮影の際にも役立つ知識なので、覚えておいて損はないです。
フラットリフトで持ち上げる場面と背面観察について
初療室にてフラットリフトで持ち上げる場面は、患者さんの服を抜いたり、バックボードを抜くときです。
バックボードに固定されてきた患者の対応|バックボードの説明とその扱い方
背面観察では、それまで仰臥位で見えていなかった部分に損傷が無いかなどを診ます。
少し長い時間患者さんを持ち上げることになるので、頑張って耐えてください。