年度が変わると任される人もいるであろう新人教育。
僕自身も2年目のときから、新人教育に携わっていました。
自分なりに行ってきたこと、上手くいったこと・いかなかったこと、悩んだことなど数多くあります。
放射線技師の新人教育で気をつけた方がいいことを、僕なりに解説します。
他のコメディカルの方にも読んでいただけたら幸いです。
初心を忘れないこと
皆さんが新人だった頃、仕事の覚えはいかがでしたでしょうか?
覚えがよく器用にこなせた方、覚えが悪く不器用で中々成長できなかった方、様々かと思います。
どちらにしても、右も左も分からない中、不安を感じなかった人はほとんどいないでしょう。
きっと新人の方も不安な気持ちはあります。
また、皆さんは社会へ突入した頃、学生気分は完全に抜けていましたか?
これも抜けていなかった人が多いのではないでしょうか。
2月まで国家試験の準備をし、残り1ヶ月しか猶予が無い中、学生気分を抜いて社会人モードになるのは結構困難です。
4月は社会人モードに切り替える最後のチャンスと言っても過言ではありません。学生気分が抜けていない新人さんには、少し心を大らかにしつつも、ケツを叩いてあげましょう。
自分が教えられたときと同じ教え方でいいか考えること
教える側にも個性があり、教わる側にも個性があります。
「自分が新人のときにこういう教わり方をしたから、同じやり方で教えよう」という考えは少し早計です。
たまたま自分が成功したやり方が、新人さんにも合っているとは限らないからです。
最初の1~2週間くらいは相手の様子もしっかり伺いながら教育にあたりましょう。
過度に期待しないこと
相手は昨年度まで学生だった人です。
ちょっと知識が足りないからといって責める必要はありません。
「この検査に携わるにはこういう知識が必要になります、なので足りない部分は勉強して補ってください」くらいのスタンスでいた方が、教える側も教わる側も少し気が楽なもんです。
ここで責めてしまうと、困った時に聞くことができず、大きな失敗を招いてしまう可能性もあります。
言語化することを大切に
「俺の背中を見て学べ!」などという時代はもう終わりです。
きちんと言語化できないということは、知識として足りない部分があったり、教育を放棄していることと一緒です。
言語化され、客観的に学ぶことができない環境は、その施設で提供できる医療の質を下げるかもしれませんね。
新人の学び方に寄り添うこと
僕はとにかく気づいた点や言われたことをメモにしておく派でした。
なぜならメモしておかないと忘れてしまうから(笑)
3歩歩くと忘れちゃうんですよねー。
でもメモしたことは仕事が終わったら全部まとめていましたし、頭の中にも入っていました。
なので、新人教育に携わったときも、皆メモを取るんだろうなと思っていました。
しかし、世の中にはメモを取らなくても仕事ができる人がいるわけです。
そんな人に「メモを取りなさい!」とか怒っても無駄なんですよね。
新人さんがどういうやり方で仕事をできるようにしてくるかは、人それぞれです。それを見守ってあげるのも新人教育者の役割です。
Twitterでは、さくらこさんも以下のようにツイートしていました。
「せっかくイラスト書いて教えたのに、全然わかってくれない」とか「せっかく詳しく説明したのにメモを取らない」とか
「型」があってない説明を繰り返して消耗するの、もったいないじゃないですか
相手に合わせた方法で教えるというのも、教育のテクニックのひとつなんです
— さくらこ🌸看護師指導・教育を考える看護師 (@sakurako_ope) February 20, 2020
結局こういうのは職種に依らないということですね。
甘やかし過ぎない・厳しくし過ぎないこと
甘やかし過ぎると、大半の新人は「この人怒らないしチョロい」みたいな感じで舐めた態度を取り始めます。歳が近いとなおのこと…
こうなると教育が結構面倒くさくなるので、あまり甘やかし過ぎないことも大切です。
かと言って厳し過ぎるのもよくないです。
新人さんが強靭なメンタルをもっていれば別かもしれませんが、常に厳しいと新人さんも疲れてしまいます。萎縮してしまって、困ったときに何も聞けなくなってしまう新人が出来上がるかもしれません。
「甘やかす・厳しくする」というのはとてもバランスが難しいのです。
怒ったらどこかでフォローすること
怒られたら人間誰しも落ち込んだ気持ちや悔しい気持ちを持つものです。
怒りっぱなしにしてしまうと、負の気持ちを持続したまま仕事に臨んでしまい、失敗をしてしまうなんてことも。
命に係わる職場だからこそ、怒るべき場所では怒る必要があるのですが、必ずフォローが必要です。それは、自分でもいいですし、別の人に任せてもいいです。
フォローすれば、新人さんの「あの人まだ怒っているかな…」という不安を拭うこともできます。怒られたことは次に活かせばいい話であって、いつまでも引きずられると困ってしまいます。
専門用語や略語を使う時は相手のレベルに合わせること
専門用語や略語は、相手も知っていないと伝わりません。つまり、使う意味を持たなくなってしまいます。
最初から完璧に専門用語や略語を理解している新人はいません。もちろん知っておいてほしい言葉はいくらでもあると思いますが、相手のレベルに合わせてあげることも大事です。
仕事以外の話もしてみること
前述の通り、相手のキャラクターを理解するためには、仕事以外の話をしてみるのも有効です。
学生時代打ち込んでいたことは何か、部活やバイトは何をやっていたか、地元の話などなど。
このご時世、あまりやりすぎると問題視される可能性もあるので、人との距離感は大切に。
共通の話題を見つけることができれば、距離も縮むことでしょう。
目標を共有し、振り返ること
教育をしていくうえで、最も大事なことがこれです。
新人は右も左も分からないので、当然目標設定もきちんとできません。
新人さんに「今日の目標は?」なんて聞く人もいますが、それは仕事の全体像がある程度見えてきた人に聞くことです。
先ずは教育担当者が、新人の進捗状況から目標を設定してあげることが大事です。
そして必ずその日中に振り返ること。
働き方改革で時間的制約はあるかもしれませんが、振り返りなんて5分もあればできますよね。その辺は上手くやってください。
体調管理ができているか気にしてあげること
遅くまで残って頑張りすぎると、どこかで体に来るものです。
初めて行くモダリティはやはり緊張しますしね。
毎日遅くまで残っていたら、早く帰るよう帰宅を促してあげるのも大事です。
ポイントは自分より上の先輩がいるところで言ってあげること。
「あいつ新人なのに早く帰りやがって」と言う(または思う)人もいますからね。
自分一人で抱え込まないこと
新人を教えていると、上手くいかないことなんていくらでもあります。
そういったときは自分一人で抱え込まず、先輩技師にも相談してみましょう。
もしくは僕に相談してもらっても大丈夫です!