「放射線技師が就職難って聞いたんですけど、本当ですか?」
こういった質問が時々来ます。
せっかく放射線技師を目指そうと思ったのに、就職難という噂を聞いたら不安ですよね。
今回はそんな疑問に答えていこうと思います。
結論
放射線技師は、現時点では就職難ではなさそうです。
しかし、僕が大学生の頃(5年以上前)よりも、求人数が少ない印象を受けます。
・就職難→求人が毎年ある程度出てるので、難とは言い難い。
・給料が低い→どういった基準で低いと言っているのかによる。個人的には標準よりやや高い。偏差値が全てではないですが、目指せるだけ上の学校を目…
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— 放射線技師ヤマト (@rad_yamato) July 17, 2020
将来的に放射線技師の需要と供給のバランスが崩れ、就職難になる可能性はありそうです。
ただ、将来何が起こるかは誰にも分からないので、そういったリスクはどの職種にも言えるのではないでしょうか。
それでは以下に自分の考えを述べます。
そもそも就職難とは
就職難と聞くと不安な気持ちになるかと思います。
先ずは、就職難の定義について調べてみましょう。
なかなか就職できずに難儀、困窮することを意味する語。働き口がない様子。特に新卒採用において内定がなかなか得られない状況、就労希望者全体における内定者の割合が低い様子などを意味することが多い。
残念ながら具体的な数字を見つけることができませんでした。
では、世の中に出ている情報から、放射線技師が就職難なのかを見ていきます。
大学卒業者の就職状況は?
厚生労働省と文部科学省が、令和4年3月大学等(大学、短期大学、高等専門学校)卒業者の就職状況を取りまとめ、発表しています。
取りまとめの結果、大学生の就職率は95.8%(前年同期差▲0.2 ポイント)となりました。
一方、就職氷河期世代(1990年代に就活をした世代)の大卒就職率は約70%のようですので、就職難かと言われるとそうではなさそうです。
放射線技師養成学校の就職率は?
例
・駒澤大学
2020年度卒業生 内定者数:48人(就職希望者のうち98%)
・金沢大学
2021年度卒業生 就職、進学しなかった学生は42人中1人(約98%が就職 or 進学)
2021年度卒業生 就職内定率100%
中々具体的な就職率が見つからず、苦労しました。
現時点では就職内定率が高そうに見えますが、就職難ではないとは言い切れなさそうですね。就職内定率が低ければ、私立大学は情報を出したがらないでしょうし、国家試験合格率も影響する話だからです。
国家試験に不合格となった場合は、内定を取り消されるのが通常のパターンです。
放射線技師の求人数と有効求人倍率
僕の使っている求人検索にて、2022年度新卒採用を行っている医療機関の求人票の数は、全国で約380件程度でした(本記事投稿時点)。一方、年度は違いますが、2021年度新卒者の国家試験合格者数は2447人です。(参照:2022年 診療放射線技師 国家試験の 合格率は86.1%!)
国試合格者のうち6割が医療機関へ就職すると仮定すると、約1480人です。1つの医療機関で採用する人数は1人の場合もあれば複数人の場合もあります。個人的に求人数は減っているように感じますが、これらの数字だけを見ると、まだバランスは保てているように見えます。
また、厚生労働省によれば、2021年度の放射線技師有効求人倍率は、1.16倍です。
有効求人倍率とは、求職者数に対する求人数の割合で、求職者1人あたり何件の求人があるかを示すものです。有効求人倍率が1より低いと、求人数よりも就職希望者数の方が多くなり、相対的に就職できる可能性が低くなると言えます。
令和3年度は1より大きいため、就職先自体はあるようです。
放射線技師の需要と供給
新型コロナウイルス感染症が流行し、ただでさえ赤字経営の病院が多かったのにも関わらず、病院の経営状況は悪化したと言われています。
おそらくここ最近は、その影響を受けて求人が減っているように感じます。(人が辞めにくくなった、病院が人を雇いづらくなったなど)
また、放射線技師養成学校がしばしば乱立していると感じています。つまり、放射線技師の供給量が増えるということです。
単純に考えれば、技師の求人を奪い合うことになりますが、国試の合格率も影響するので、この辺は何とも…と言ったところでしょうか。
就職難とまでは行かなくても、就職活動をするまでの準備が大事になりそうですね。