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【書評】「CT縦横無尽」監修:粟井 和夫/メジカルビュー社【読書レビュー】

CT装置は日々進歩しており、自主的に情報を取りにいかないと置いていかれてしまうレベルだと考えています。

そんな中、現在のCT装置についてまとめられた本が発売されました。メジカルビュー社より出版された「CT縦横無尽」という本です。

今回はこちらの本について紹介していきます。

はじめに

この記事を書くより前に、メジカルビュー社様から「CT縦横無尽」をご恵贈いただきました。よって、いわゆるPR記事であることをご了承ください。

メジカルビュー社様、およびご担当者様、この度は貴重な機会を頂きありがとうございます。厚く御礼申し上げます。

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本の基礎情報

  • タイトル:CT縦横無尽
  • 監修:粟井 和夫
  • ジャンル:医学
  • 発売日:2023/10/1
  • 出版社:メジカルビュー社

この本はどういう本?

CTの撮影技術とトレンドについて、幅広く網羅された内容の本だと考えます。

細かい基礎の基礎部分は書かれていませんが、その辺りは過去に出版された本でも十分勉強が可能ではないでしょうか。

情報の新しさと図表の多さが、個人的に一番価値を感じた部分です。

CTを触りたての初学者には情報量が多すぎると思いますが、それ以降の初級者~中級者の方には向いていると思います。上級者の方は常にトレンドを追っていると思うので、既知の内容がほとんどでしょうか。

本の構成

 フラグシップCT装置

フラグシップCT装置は、いわば各メーカーのアイデンティティみたいなものです。
なので、各社のHPを見ればある程度の内容は分かると思います。

本書の強味は、要点がまとまっていて説明が分かりやすい点でしょうか。

装置の歴史から原理まで触れられており、各メーカーの特徴がよく分かる内容となっていると感じました。

 スキャンテクニック

本書の大半を占める内容が、このスキャンテクニックです。僕自身もこの項が気になって購入を検討しておりました。

サンプルページを見ても分かるように、各項目ごとに最初に要点がまとめられています。

心臓に関するページの割合が多く、特に勉強になりました。疾患別撮影タイミングが表でまとめられており、臨床では参考にしやすいかなと思います。

手術支援画像に関する部分では、「何を見たいのか」知っておくべき内容が詰め込まれています。また、外傷診療からAi(Autopsy imaging)まで網羅しているのも良いです。

個人的には造影条件の部分に、参考程度でFD(Fractional Dose)も載っているとイメージがしやすい部分もありました。

 アーチファクト低減技術

各メーカーのアーチファクト低減技術について述べられています。

この辺は原理の部分に説明を多く割いている印象です。

 低管電圧撮影

基礎知識を踏まえたうえで、実臨床でどのように使われているのか説明されています。

 高精細CT

導入できる施設も限られているでしょうし、参考になる話が多いかなと思いました。

自分が触る機会があるか分かりませんが、知っておくに越したことはないです。

 デュアルエナジーCT(DECT)

こちらも各メーカーごとに原理や強味について触れられています。イラストや画像が豊富に組み込まれており、とても分かりやすいです。

DECTの有用性や臨床への応用など、網羅されています。

 フォトンカウンティングCT(PCD-CT)

PCD-CTについては、恥ずかしながら自分にあまり知識がありません。

初学者の僕でも、最低限の原理やメリット・デメリットについて理解を深めることができました。

 立位CT

近年話題になることがある立位CTについて、開発経緯から臨床応用までまとめられています。こちらも自分の勉強不足ではあるかもしれませんが、臨床応用の説明が分かりやすかったです。

こういった、昔の本には載っていないような要素が掲載されているのも本書の魅力に感じます。

 画像再構成アルゴリズム

メインは逐次近似画像再構成法とディープラーニング再構成法です。各メーカーごとにまとめられています。

一度で良いから自分でディープラーニング再構成を仕掛けてみたい…!
そのうちドンドン普及するもんなんでしょうか。。

 三次元画像処理

ピクセルやマトリクスの用語解説から始まり、各処理方法の概要や臨床活用例が豊富に掲載されています。

この辺りは1年目のときに読めていたら嬉しかったなあと思ったり。

 ワークステーション

いわば画像処理の続きです。

ここまで細かく各メーカーの比較をしたことが無かったので、新鮮でした。

 CT安全管理

撮影テクニックや臨床応用も大事ですが、安全管理も同じくらい大事ですよね。

被ばくや造影剤使用時のリスクについて、改めて意識を向けました。

レビュー(感想)

トレンドに沿いつつ、実践的な内容まで網羅しているのが本書の特徴かと思います。図表が多く盛り込まれているのも読みやすい点だと感じました。

特に、各項目において「ここがポイント」という要約部分があり便利です。

なるべく過大評価はしたくありませんが、現在のCT技術について勉強するには、これ一冊で何とかなるんじゃないかと思ったり…。

購入された他の方の意見も是非お聞かせいただきたいです。
この記事ではあまり内容に深く切り込めないので、サンプルページと僕の感想から購入を検討していただけたらと思います。

個人で購入するには少しだけ勇気のいる値段かもしれませんが、それだけの価値はあるかなと考えます。

各部位のスキャンテクニックはもちろん, アーチファクト低減技術, 高精細CT, デュアルエナジーCT, フォトカウンティングCT, 画像再構成アルゴリズム, 三次元画像処理, ワークステーションの特徴, 各メーカーのフラグシップモデルなどを紹介。撮像現場と読影現場のどちらでも役立つ記載をカラー写真とともに満載した, 圧倒的なボリュームで贈るCTの新たな手引書。
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rad-yamato
大規模病院とクリニックを経験した診療放射線技師8年目。趣味は昼寝・筋トレ・ダンス・料理・読書・ゲーム・ゴルフ・キャンプなど。ブログには新人放射線技師・看護師や研修医の方へ向けた内容や、仕事に役立ちそうな話を書いています。 公式LINEアカウントもありますので、気軽にご相談ください。