胸腹部のレントゲンは1方向の撮影のみで終わる場合がしばしばあります。
一方、骨撮影はどうでしょうか。
基本的には、2方向撮影をするかと思います。
では2方向撮影の意義とは何でしょうか。
骨撮影で2方向撮影をする理由とは
骨撮影にて2方向撮る理由は、ほとんどの骨折や脱臼は1方向のみでは検出できないためです。
2方向とは通常、直交する方向を指します。
例えば、骨折線とX線入射方向が垂直になったとき、画像としてはどのように見えるでしょうか。
垂直になってしまうと、骨折線はほぼ見えないです。
そこで、90度振った方向から2方向目の撮影をすると、見えやすくなるというわけです。
脱臼も同じで、脱臼している方向に対しX線入射方向が垂直になると、一見そこまで脱臼しているようには見えない場合があります。(例としては、手指の脱臼)
肩関節や股関節の脱臼は比較的、正面像1枚でも脱臼しているかどうか分かります。
2方向より多く撮る場合
2方向撮ることが有用と書いていますが、骨折の検出が困難となりやすい部位は3方向以上撮影するのが望ましいです。(例としては、舟状骨)
例に挙げた舟状骨であれば、「正面・斜位・側面」といったところでしょうか。
まあ今ではCT検査によって多くの情報を得ることも可能ですが。
2方向撮らない場合は無いが…
2方向撮らないパターンはほぼ存在しません。
ただし、綺麗に2方向、直交した状態で撮影することが困難なパターンがあります。
外傷患者の撮影
通常の撮影とは異なり、制限があることが多く、必ずしも90度直交するように撮影はできません。
そもそも撮影基準線などに合わせて撮影するのが困難です。
また、撮影する際は逐一、医師と確認しながらポジショニングをする必要があります。あらぬ方向に動かしてしまっては、元も子もないですからね。
医師にも患者さんにも声掛けをしながら撮影に入ることがポイントです。
通常のポジショニングが困難な場合
小児や、拘縮の強い方など、こういった場合も普段の綺麗な2方向とはいかないことが多いです。
なので、どうしたら上手く撮れるか、というのを頭でしっかり考える必要があります。
特殊なパターンについては、モダリティ内で撮り方を共有しても面白いかもしれません。